この記事を読むと行動を起こし継続する方法を学べます
登場人物:
ハル:若手の営業社員、熱血漢で真面目な性格、向上心がある女性社員。困ったことをたびたび、タクに教えを請うと称し、愚痴を言いに来る。
タク:ハルの会社の元先輩で、退社して起業した。マイペースで自由な性格。
その行動はプログラミングできる
「お、ハル、元気かい、って元気そうではないね」
ハルに呼び出された、タクは神妙に言う。
「実は、イラストレーターになりたくて勉強を始めたんですけど、時々、思い出したように自分なんて通用しないって怖くなるんですよ。なんかやる気を無くしちゃいました」
「無価値感だね。自分には価値がないと思ってしまう。大体、根拠は無いんだけどね。俺もよく感じてたよ。誰しもあるんじゃかいかな?」
「えー、先輩もですか?いつも平然としているただの変人だと思っていましたが、そんな繊細な一面もあったんですね」
「はっきり言うね。俺だって、心はあるさ。でも、ハルおめでとうと言おう。順調じゃないか」
「おめでとう、って何がですか?」
「ハルのように、自分の将来のために新しい行動を起こす人は、新しい世界の壁を感じて、跳ね返される。それが、自分には無理だという感覚だと思うんだ。今まで経験してないから、当たり前なんだけどね」
「普通の人は、新しいことにトライしようなんて思わない。どうやって、現状で改善できないかと頭を悩ませている。例えば、給与が上がらないことに不満があっても、現状の中でなんとか努力しようと思う。資格をとったり、上司に気に入られようと実績をあげようとしたりする。でも、会社の決める給与なんて大きく上がらない。現状で無理なら、新しい事を試すことが重要だよ。新しい事にトライしたハルは勇気があるし、新しい事にトライした副作用で、自分には価値ないと感じたのは順調だと言ったのさ」
「褒められると嬉しいですねぇ。確かに人と違う道を行く先輩の言葉は、重みがありますね。でも、これからどうすればいいでしょうか?」
結果を出す人は未来を先取りする
「脳は、新しい習慣を取り入れ難い性質がある。理由は、生き残る可能性が高い状況を選ぶのが脳の本能だからだ。新しい習慣は未知だからね、そんな危険は犯したくない。新しい習慣をしていると、気が散ったり、解けない問題があると、脳の指令で自分はダメだと思ってしまう。だから、新しい習慣は続かない」
「例えば、実力があっても本番に弱い選手は、下位の順位で自分が落胆している姿をイメージしてしまう。それでは、練習にも身が入らないし、第一自分ができるかどうかを疑ってしまうよね。彼らが呟く言葉は『どうせ自分には出来ない』だ。これでは、成果は上がらないのも当然だと思うんだ」
ハルは、なるほどと頷いている。
「反対に、結果を残せる人は自分の未来を先取りするんだ。具体的に言うと、先に、成功のイメージをつくってから、行動を始めるんだ。例えば、優秀なアスリートは、先に一番高い表彰台に上がっている姿のイメージを持ってから、練習する。そしてこう呟くんだ、『俺は、金メダルをもらう人間だ』と。言葉にすると、脳に定着する。人間は言語で思考するからね」
「表彰台という視覚的で解りやすいイメージと言葉による記憶があるから、頑張る決意が固くなる。しかも、練習が楽しくなるから、さらに頑張れる。だから、上達も早い。という良いサイクルが回るようになるんだ。彼らは、楽しくて努力しているから、日常と練習の境がなくなる。そのため、日常生活中でも練習のアイディアが湧くこともある」
イメージ | 言葉 | |
失敗する選手 | 下位の順位で落胆している姿 | どうせ自分には出来ない |
結果を残す選手 | 一番高い表彰台に上がっている姿 | 俺は、金メダルをもらう人間だ |
イメージ+言葉で自分の行動をプログラミングする
「私、絵は大好きなんですがパソコンの操作が少し苦手で、そこに躓いたと思います」
「パソコンで失敗した時、どんなイメージをしたの?」
「絵が中々描けない自分にイライラしているイメージでした。思い出しても嫌になります」
ハルは、ちょっとふくれっ面している。
「その時の呟きは?」
「『ダメだ、どうせ自分には出来ない』かなぁ」
「もう、解ったよね、その真逆をすればいいんだ。イメージと言葉を出してみよう。イメージや言葉に根拠はいらない。自分勝手でいいんだ」
「自分勝手は得意です。イメージは、展覧会で金賞を受賞して笑っている自分がいます。その時の言葉は、『多くの人に応援されて賞まで貰えて私は幸せです』かな!楽しくなりますね!」
タクも頷く。ハルのこの素直さが、タクも嫌いではない。多くの大人が失った素直さをハルは持っている。それがハルを成長させると、タクはかねてから確信していた。
イメージ | 言葉 | |
昨日までのハル | 絵が中々 描けない姿 | ダメだ、 どうせ自分には出来ない |
これからのハル | 展覧会で金賞を 受賞して笑っている姿 | 多くの人に応援 されて賞まで貰 えて私は幸せです |
失敗はやり直せる
「また、『どうせ自分には出来ない』と思ってしまうこともあるだろう。でも、その時は、自分を許すことが大切だよ。ネガティブな事を思い付いたら、訂正すればいい。『多くの人に応援されて賞まで貰えて私は幸せです』と言い直すんだ。そうして、良いイメージを想起する。それを繰り返すことだ」
「失敗してもいいって、安心しますね!」
ハルの笑顔が弾けた。
方法論を試さない人が多数派
「大切なことは、『やってみる』ことさ。このような、イメージトレーニングが大切なんてことは、既に多くの人が『そんなことは知っている』と言うだろう。知ってても出来なければ意味がない。知っていることを実直にこなしている人はとても少ない感じている。それは、とても勿体ないことだとおもうよ」
「そうですね。やってみても損は無いし、できたら嬉しいです。先輩、ありがとうございました」
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